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アンフォゲッタブル

Unforgettable  Lylics & Music by  Irving Gordon


-Introduction-

まさにアメリカ・ポピュラー音楽界の ”王様” である、ナット・キング・コール ( Nat King Cole 1911-1965 ) による1951年の大ヒット曲。ジャズ・ピアニストとして高い評価を得ていた彼が、本格的にヴォーカリストとして活躍しその軸をポピュラー音楽へと移しつつあった頃の作品である。

この曲は1959年にダイナ・ワシントンによるリヴァイヴァル・ヒットも記録するが、何といっても特筆すべきは1991年にナット・キング・コールの愛娘ナタリー・コール ( Natalie Cole 1950-2015 ) がオーヴァー・ダビング により亡き父とのデュエット・ヴァージョンをリリースし再び大ヒットさせたことだ。

これがグラミー賞を受賞したこともあり、「アンフォゲッタブル」といえば二人のデュエット・ヴァージョンも人々の心に深く刻まれている。

  ※尚、オーヴァー・ダビングにはナット・キング・コールが1961年に再録したものが使用された。

 

ナタリー・コールはライヴでも父の映像とともにこのデュエット・ヴァージョンを披露しているが、その素晴らしさは卓越した二人のヴォーカリストが生み出す音楽の純然たる魅力だけではない。オーヴァー・ダビングにも拘らずそこに何とも言えぬ父娘の深い情念を感じさせずにはおかないのだ。

その感動的なパフォーマンスは、音楽というものの素晴らしさをまた一つ認識させてくれるだろう。


【出典・参考】

 「ベスト・ジャズ ベスト・アルバム」 大和 明 著  (音楽之友社)

 「ジャズ・スタンダード名曲徹底ガイド 下」  (CDジャーナル ムック)

 「ジャズ名曲物語」 吉村 浩二 著  (スイングジャーナル社)


■楽曲のプロフィール


Unforgettable -忘れ得ぬひと、と歌う恋の歌。

そう聞くと過去の恋の想い出の曲だと思ってしまうかもしれない。しかし実はそうではなくて、この歌は現在進行形の熱い恋の歌。Unforgettable とは ”ひと時も頭を離れない” いう意味なのだ。それを素敵なラブ・ソングのようだなんてと例えるあたりは、実に音楽的な歌詞でもある。


ひと時も頭から離れないひと…それほどまでに好きになるなんて、なかなか出会うことのない恋だろう。-でも本当にそんな風になっちゃうってことは、私も経験している。(想いが積上がるほどにそうなってしまうのだよ。)


この歌は、そこまでの存在になるひとと出会えたことの幸せを歌い、そして自分もあなたにとってそんな存在=Unforgettableになりたいという切望を歌う。"愛する人にとってのUnforgettable " そりゃあもう、なりたいよねぇ…

そうしたリアルな恋心を表現して圧倒的な共感をもたらす歌詞が、しっとりとしてファンタジックな旋律とともに心に迫る、とっても素敵な曲なのである。

■トロンボーンが聴かせる名アレンジ、名演奏

Unforgettable は、Trombone ともとても相性の良い曲。私の大好きなビル・ワトラス (Bill Watrous) もすっごくロマンティックな Unforgettable を聴かせてくれている。

 -なんて美しくてメロウなんだろう!

Trombone の持つそうした側面が、究極まで現われている演奏だ。

 (CD:”BONE-IFIED”)


吹奏楽版でも Flugelhorn と Trombone のデュエットをフィーチャーした真島 俊夫の名アレンジがある!

(ニュー・サウンズ・イン・ブラス 1999)


あのナット・キング・コールとナタリー・コールのデュエットをイメージさせつつ、中間部ではサンバに乗ってアドリブ・ソロが展開する色彩豊かなアレンジである。本当に良いアレンジでチャレンジし甲斐があるので、ぜひもっともっと演奏されて欲しいと思う。



-Epilogue-

私が Unforgettable という曲を大好きになったのも、実は所属する吹奏楽団でこの真島アレンジを実演する機会に恵まれたことがきっかけ。

我が楽団の誇る花形トランペッター・Kenちゃんとこの曲でデュエットできたことは、本当に一生の想い出である♪

正直今ならもっとうまく吹けたな-というところはあるけれど、それこそ当時の自分ができる限りの練習を尽くしたし、熱い ”想い” も込めて吹き切った。

私にとって音楽の喜びに浴することのできたステージだったと思っている。

 

 

                    <Originally Issued on 2019.7.3. / Revised on 2023.11.30.>


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