Just Friends Lylics by Sam M. Lewis Music by John Klenner
-Introduction-
アップテンポの小粋なピアノ・アドリブのイントロに続いて現れる、4声の Trombone によるハーモニアスなメロディ…たまらなくカッコ良くって、心が躍りまくって、とても抑えられない。中間には3本の Trombone による熱いアドリブの応酬…Trombone の活躍を盛り立てる他セクションのバックアップもまたすっごくイイ!

”これぞ Trombone ” なグリッサンドのハーモニーが響きわたるエンディングも、まさに”おぉー、キマった☆”と思わず声を挙げたくなる鮮やかさだ。

Webの動画で視聴した内堀 勝ビッグバンドによるその演奏は途端に頭から離れなくなった。
Just Friends はジャズのスタンダードとして数多のミュージシャンに奏されてきた名曲だが、私が惚れ込んだのはこの Trombone セクションをフィーチャーした演奏がきっかけなのである。
Trombone はもちろんソロもいいが、セクションによるハーモニーに圧倒的な魅力があることをつくづく痛感させられる。こんなアレンジで名曲を彩ったハイセンスな内堀 勝※ の世界観に完全に魅了されてしまった。Trombone を演ってる人なら絶対わかるハズ!

※内堀 勝
自身が奏者として活躍していたこともあり、Trombone の魅力、使いどころを知り尽くしているのは当然。本格的なジャズだけでなく、吹奏楽においても突抜けたアレンジを幾つも提供している。
ちなみに中央大学在学時には吹奏楽部で学生指揮者も務め、同大学を指揮して1965年の全日本吹奏楽コンクールに出場、3位入賞を果たしている。
■楽曲のプロフィール
元々は1920-30年代に活躍したラス・コロンボ(Russ Columbo 1908-1934)が歌った1931年のヒット曲だが、この曲の持つシャレたコード進行が好まれ、ジャズの世界でスタンダードになったと評される。
カノジョから一方的に「恋はおしまい。もうお友だちでいましょ。」と告げられてしまった男の歌だ。「お友だちでいましょ」は One Way Love においてもフラれる時に喰らう常套句だと思うが、ふたりが恋人同士だった場合は一層キツい。
英詞のニュアンスが本当の意味で判っていない私にだって、その痛みは充分想像がつく。
-そりゃ「とても前のようにはいられない」よ。

そんな歌詞なのにノリノリで、本当に洒落ていて明るーい!
…のがまた却って哀しいところ。
泣きながら布団被って引きこもりたいのに、こんな感じで歌い飛ばす男の哀しさよ。
このシチュエーションが、道化のキャラクターを持つ Trombone にまた何とも合ってんだよなー。 (笑)
【出典・参考】 「JAZZ“名曲”入門 !」 後藤 雅洋・中山 康樹・村井 康司 編 (宝島社)
■名アレンジ、名演奏

Just Friends は内堀 勝ビッグバンドのレパートリーの中でも一番人気のあるナンバーだそうだが、納得である。
同バンドの2004年のアルバム 「WAYNE」 に収録、アドリブの応酬は片岡雄三・橋本佳明・三塚知貴の三氏だ。もちろん、私がこんなアドリブを吹けるようになることは死ぬまでないが、この曲・このアレンジはぜひ一度は演奏してみたい!
この録音のようにあくまで軽やかに、美しい音色でハモりたいものだ。
これもまた私の夢の一つである。
-Epilogue-

柄にもなく恋をして ”センチになって” (I'm getting sentimental over you)、あっという間に想いは募り、彼女のことは頭から離れない ”忘れ得ぬひと” (Unforgettable) にはなったけど… 所詮想いは通じず ”ただの友だち”(Just Friends)でって言われて、はいオシマイ。
-そんな話はもう幾世代も前から、そして現在でもあちこちで繰返されてるコトなんだろう。(だけどツラいよね...胸が張り裂けちゃう。)
この3曲はもう本当に、とっても大好き。この世にこういう素敵な音楽があってくれて良かった。
そして自分は運よく Trombone なんて演ってるんだから、こうした愛する曲たちに実際に触れられるよう努力を続けていきたい。練習を頑張って、もっと上手くならないと…。
<Originally Issued on 2019.7.8. / Revised on 2022.10.12. / Further Revised on 2024.1.7.>
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