top of page
  • hassey-ikka8

吹奏楽のための第3組曲 J.スピアーズ

更新日:5月16日

Third Set for Band  J.スピアーズ Jared Tozier Spears  (1936- )

Ⅰ. Dance   Ⅱ. Night Song   Ⅲ. Entry and Minimarch


-Introduction-

ジャレッド・スピアーズによるこの 「吹奏楽のための第3組曲」 (1972年) は随所に良い旋律が現れるだけでなく、卓越した楽器用法による色彩の豊かさと、鮮やかなコントラストとダイナミックな聴かせどころも確りと整っている。

それが5分ほどの演奏時間に凝縮されるという構成感も優れる佳曲となっているもので、本来は現在でもさまざまな場面でもっと演奏機会があって良い作品のはずである。


■作曲者

ジャレッド・スピアーズは、CBSソニーが毎春発売していたLP「コンクール自由曲集」にほぼ欠かさず楽曲を提供していたので、本邦吹奏楽界では大変馴染み深いアメリカの作曲家である。

最初に紹介されたのは 「キンバリー序曲」で、以降も一貫して、アマチュア・バンドが実際に演奏することを念頭に置いた作品を送り出し続けている。

平易ながらもモダンなムードを持ち、打楽器奏者としてのキャリアも持つスピアーズらしく、打楽器の活躍する作風である。ややサウンドに重厚さを欠くきらいはあるが、愛すべき作品は多い。


吹奏楽曲としては 「ウォバッシュ地方の伝説」 「年代記」 「ノヴェレッテ」 「ディキシーランドの葬式」 など多くの作品を発表。それのみならず合唱・管弦楽・室内楽など、併せて250を超えるオリジナル作品を世に送り出しているという。


 ※Barnhouse社 HPによる:https://barnhouse.com/composer/jared-spears/


■楽曲解説

「第3組曲」 は数多いスピアーズの作品の中でも際立って構成感に優れ、簡潔で無駄がない。

サウンド的にも終始充実し、打楽器も大変効果的に使用されていてなかなかの傑作である。


曲は次の3つの短い楽章で構成され、それぞれが効果的なコントラストを成している。








Ⅰ. 舞曲 (Dance) 2/4拍子 Allegro  (♩=126) の快活にして引き締まった表情の楽章で、堰を切ったように全合奏のエキサイティングな楽句でオープニング。

一旦静まって聴こえてくる Temple Block の響きがユニークであり、続いて Tuba から始まる踊りもユーモラスな楽想である。

鮮やかなコントラストののち、これが木管楽器に移って軽やかでレガートな変奏となるが終始スピード感はキープされている。再び金管群と打楽器がダイナミックな楽想を描き、最後は再び低音楽器に旋律が戻って、モチーフの断片を奏し静かに曲を閉じる。


Ⅱ. 夜の歌 (Night Song)

4/4拍子 Slow (♩=58)の抒情的な緩舒楽章。Horn + Euphonium が歌い出し Clarinet ファミリーが応答する幅広い冒頭の旋律に続き、表情豊かに歌い上げる Horn ソロがとても美しい。

この旋律が繰り返され高揚していくが、短い楽章の中でも確りとしたクライマックスを形成しており見事である。

冒頭の旋律が Alto Sax. ソロで戻ってきて、余韻を湛えたクロージングとなる。


Ⅲ. 入場と小行進曲 (Entry and Minimarch)

4/4拍子 Marcato (♩=120) の勇壮なファンファーレとドラムの壮麗なリズムに始まる最終楽章は Chime の華麗な音色に彩られ、強力なサウンドが響き渡る。

Gong も加わってさらに濃厚な響きを聴かせると、Trumpet の鮮烈な楽句とドラムに導かれて徐々に静まり小行進曲が始まる。ここではリズミックな伴奏と朗々たる旋律の対比が聴きものとなっている。

Trumpetに移った旋律は一転して華々しく奏され、それとともに音楽は更にエネルギーを増して重厚なテンポのコーダ(Grandioso ♩=60) へと突入する。そこでは冒頭のファンファーレが拡大して再現され、堂々たるサウンドで全曲を終う。


推奨音源

汐澤 安彦cond.

フィルハーモニア・ウインド・アンサンブル

グローバルベースでも唯一の商業録音。

楽曲の魅力を存分に発揮した好演であり、この演奏で決定盤として良い。








-Epilogue-

この 「第3組曲」 は難易度の割にメリハリがあって聴き映えがし、古臭さがなくて短い尺の中に魅力が詰まっている。「組曲」 という建付けだが演奏会ではオープナーでも使えるし、初~中級バンドにとって非常にユーティリティの高い作品である。 謂わば ”お買い得” (?)な佳曲なので、ぜひ再評価されもっと演奏されてほしい一曲だ。近年濫造気味のオリジナル曲よりも、音楽としてそして吹奏楽の魅力を放つ楽曲としてずっと楽しめるはず…と感じずにはいられない。



  <Originally Issued on 2007.3.28. / Revised on 2008.11.8. / Further Revised on 2024.3.7.>

閲覧数:48回0件のコメント

Comments


bottom of page