Orb and Sceptre W.T.ウォルトン William Turner Walton (1902-1983)
-Introduction-
2022年9月8日、イギリス国王エリザベスⅡ世の崩御が伝えられた。
在位70年7ケ月、気品と威厳に満ちた女王の姿は他国民にとっても極めて尊く感じられるものであった。
「全生涯を皆さんのために捧げます」-1947年21才の時に未来の君主としての覚悟を示したこの誓いの言葉は、後にエリザベスⅡ世の公務に対する姿勢を象徴すると評されている。
■楽曲概説

「宝珠と王の杖」※ は1953年、前年に即位したイギリス国王エリザベスⅡ世の戴冠式 (1953年6月2日) のために作曲された行進曲 (管弦楽曲) である。
”戴冠式行進曲”というと厳めしく、格式があり良くも悪くも保守的な楽曲がイメージされるが、この「宝珠と王の杖」は高い品格を感じさせることはもちろんながら、よりモダンな音楽となっているところにその魅力がある。
作曲者ウォルトンが先行して作曲したもう一つの戴冠式行進曲=「王冠」と比較しても、それが顕著と云えよう。
そのモダンさは第二次世界大戦中に開花した ”スウィングの時代” の影響を受けており、”新しい時代の精神” を反映したジャズ的な色彩を持つとも評されるが、そうした斬新な手法をとり入れたウォルトンの意欲が感じられるこの作品は、所謂 ”戴冠式行進曲” のイメージを超えた輝きを放っている。
※この曲の標題となったイギリスのレガリア(王器)である ”Orb” ”Sceptre” はともに日本にはなじみがないため
本作の題名邦訳に決定的なものはなく、 「宝玉と王の杖」 「宝珠と王笏」 「宝玉と勺杖」 などが混在しているが、
本稿では最も一般化した「宝珠と王の杖」を採用している。
” Orb and Sceptre ” という標題はウイリアム・シェイクスピアの歴史劇「ヘンリー五世」第4幕第1場に登場する -正確にはこれを原作にローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)が監督・主演しウォルトンが音楽を担当した映画「ヘンリー五世」 (1944年) に登場するヘンリー5世の独白※ に因む。

※ヘンリー5世が、その責任の重さと付随する苦悩を自覚し
つつも、王としての覚悟を固める場面である。「たとえ戴
冠式の栄華に浴しても、王の責任苦悩は到底慰められるも
のではない。」の趣旨の中で、Orb と Sceptre は王だけが
手にし得るものとして、他のレガリアとともに列挙されている。この科白は映画化にあたって少々改変され、その
映画版の科白(上記)に 'orb and sceptre, crown imperial' という、そのものズバリのくだりが現れるのである。
■戴冠式と「宝珠」「王の杖」
✔1953年6月2日 エリザベスⅡ世の戴冠式挙行

イギリス国王の 「戴冠式」 は、今日の先進国では日本の「大嘗祭」を除き他に例をみない ”君主即位の宗教儀式” であり、イギリスという国家が千年に亘るその経験の所産として手に入れた、貴重な文化価値を秘めるとされている。

戴冠式はウエストミンスター寺院にて執り行われ、新国王の入場である「臨御の儀」に始まり、バッキンガム宮殿への「還御」に至るまで、実に21もの儀式 (現在は廃止された「挑戦式」を除く) が厳粛に行われる。
一連の儀式を執り仕切るのはカンタベリー大主教であり、ウエストミンスター院長がその介添役を務め、さらに祈祷や説教を分担する5人の主教が大主教に扈従する。
儀式の中で最も重要なのは「聖別式」であり、一見中心的と思われる「加冠式」 (聖エドワード冠の授与式) は元々その付随的なものなのだという。

「聖別式」 はまさにイギリス国王の椅子たる ”聖エドワードの椅子” に初めて着席した新国王に、聖油を塗る儀式である。
聖油入れ (Ampulla) から聖油匙に取った聖油をカンタベリー大主教が指に浸し、祈りを唱えつつその指で新国王の頭・胸・そして両掌に十字を描く。 「神の御前で聖油を塗られた (神の) 御代理者」として新国王を ”聖別” するのである。
戴冠式を終え、黄金儀装馬車に乗りバッキンガム宮殿へと還御するにあたり新国王は王衣を改め、王冠も ”聖エドワード冠” から “帝冠 (The Imperial Crown of State)” へと替える。そして左手に ”王珠”、右手に ”十字架笏” を手渡されて出発していく。

ウエストミンスター寺院の中で行われる儀式に参加できる者は限られているが、還御する新国王は何の資格も持たない一般民衆も目にすることができる。
そこには、帝冠を戴き王珠王笏を手に、威儀を正した新国王の姿があるのである。
✔戴冠式におけるレガリア 「王珠(宝珠)」 「王笏(王の杖)」
ウォルトンの作曲した戴冠式行進曲の標題である Orb (王珠) と Sceptre (王笏) は他のレガリア(「王権」の象徴物)※ である王衣・拍車・剣・腕輪・指輪などとともに戴冠式にて新国王に順次授与されるものであり、その授与式は「加冠式」に先立って行われる。
より重要な儀式に用いられる ”聖油入れ” や ”聖油匙” そして ”聖エドワード冠” をはじめとして、戴冠式に登場するレガリアは数多いが、「一般国民が目にする新国王の姿」とは、還御において帝冠を戴き王珠王笏を手にした姿である。
ウォルトンがイギリス国王に献呈する戴冠式行進曲の標題として “帝冠” ならびに “王珠と王笏” とを選んだのはそのためであろう。即ち「国民に等しく知られた新国王の姿」と合致するという観点から、大変ふさわしい標題であると云うことができるのだ。
◆Orb(王珠)

王の地上の統治権とその統治を支配する神 = ”キリスト教の十字架の下の独立主権” の象徴。
十字架を戴く直径6インチの金色の金属球体で、金のレースやダイヤ・ルビー・エメラルドなど数々の宝石で装飾されており、球頂の大きく美しいアメジストの上に、これもまた美しく宝飾された十字架がある。
◆Sceptre(王笏)

王の力と正義のしるしである「十字架笏」と、公正と慈悲の笏である「鳩笏」の2本から成り、新国王は授与された「十字架笏」を右手に、「鳩笏」を左手に持つ。
ともに3フィートほどの金の棒であり、豪華な装飾が施されている。
特に「十字架笏」は王珠が据えられた笏頭に ”アフリカの巨星” という530カラットものダイヤが嵌め込まれていることで有名。
※レガリア(王器)
王者の証たる宝物のことで、本邦においては「三種の神器」=八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣 がこれにあたる。
(レガリアは他にもロシアをはじめする世界各国にて伝承されている。)
戴冠時のエリザベス女王の左手には Orb、右手には Sceptre が握られている。
尚、この ”Orb and Sceptre”という標題の邦訳については、おそらく本邦随一の研究文献「イギリスの戴冠式」
を著した蒲生俊仁氏に敬意を表し、氏の採用した訳語に基づき「王珠と王笏」とするのが良いと思うが、本稿
では前述の通り、一般化しているという観点から楽曲の標題としては「宝珠と王の杖」を採用している。
✔戴冠式での奏楽

1953年6月2日、ウエストミンスター寺院に於ける戴冠式本番での「宝珠と王の杖」の演奏(初演)は戴冠式 ”開始前の奏楽”※ として行われた。
これはパーセルの「シャコンヌ」に始まり、ウォルトンの「王冠」やホルストの「木星」、エルガーの「威風堂々第2番」にヘンデルの「王宮の花火の音楽」など、イギリス古今の名作とともに、エイドリアン・ボールト (Adrian Boult) 指揮の戴冠式管弦楽団により演奏されたものである。
※ウエストミンスター寺院公式HPに掲 載されていたリスト(左画像)による
「宝珠と王の杖」スコアの曲目解説には、戴冠式の女王入場の際にアーノルド・バックス(Arnold Bax) が新たに作曲した「戴冠式行進曲」 が使用されたとの記述があるが、当該リスト上ではバックスの戴冠式行進曲は、戴冠式 “終了後の奏楽” にて演奏されたと記されている。
ネット上に up された戴冠式当日の記録映像や、BBC制作の記録番組 (DVD) も視聴したが、女王入場の際にバックスの戴冠式行進曲が演奏されている様子は確認できず (因みにバックスの「戴冠式行進曲」は、典型的な儀礼曲というべき、まさに保守的な曲想である) 、戴冠式中の音楽演奏はファンファーレやイギリス国歌、そして宗教的な音楽で占められていた。従って、当日の演奏楽曲はウエストミンスター寺院のリスト通りであったと考えてよいであろう。
また、式中では C. T. スミスの「ルイ・ブルジョワの讃歌による変奏曲」により吹奏楽界でも有名な “ Hymn : All People that on earth do dwell ” (ヴォーン=ウイリアムズ編) も唱されていたのが印象的であった。
※エリザベスⅡ世の戴冠式は、史上初めてBBCによりテレビ中継された。これにより一般国民も戴冠式の様
子を初めて目にすることができたものである。
当時、” 開かれた王室 ”への志向と、王室の権威維持との軋轢は大きかったようで、その様子は BBC 制作
の「BBC 世界に衝撃を与えた日 1~エリザベスII世の戴冠とダイアナ妃の死~」(DVD)に詳しい。
【参考・出典】

「イギリスの戴冠式-象徴の万華鏡-」
蒲生 俊仁 著 (神道文化叢書8/神道文化会)
イギリスの戴冠式を語り尽くした決定版的書籍。総覧的かつ詳密で非常にわかりやすく整理されている。この特殊な題材に対して実に丁寧な調査を施し、品のある筆致で過不足なくまとめあげられており、ひたすら頭が下がる。

「エリザベス(上・下)」
サラ・ブラッドフォード 著 尾島 恵子 訳 (讀賣新聞社)
エリザベスⅡ世のオフィシャルな伝記で、戴冠式の情景も物語的に描写されている。しかし何より印象的なのは、既に結婚し二人の子供にも恵まれていた王女エリザベスが、父ジョージ6世の崩御を受け女王として即位した際の描写である。
王女とはいえ、遂にこの世にただ一人しか存在しない「国王」となる -変貌を余儀なくされるその瞬間に ”凄味” が感じられて已まない。
・イギリス王室 公式Webサイト
・「宝珠と王の杖」スコア(Oxford University Press 版)
デヴィッド・ロイド=ジョーンズ(David Lloyd-Jones)による楽曲解説
・Paul Serotskyによる「宝珠と王の杖」楽曲解説
・「ヘンリー五世」 ウイリアム・シェイクスピア 作 小田島 雄志 訳 (白泉Uブックス)
・「BBC 世界に衝撃を与えた日 1 ~エリザベスII世の戴冠とダイアナ妃の死~」(DVD/BBC製作)
■楽曲解説

楽曲としてはA-B-A-Bという戴冠式行進曲らしい構成を持ち、冒頭 Trumpet のファンファーレに始まるリズミックな序奏部に続いて、厳かで非常に落ち着いた楽想により第1主題が現れる。
この第1主題からして弦楽器 (Violin.II) と Horn とで同奏されることが示すように、本楽曲に於いて Horn という楽器は旋律に伴奏にと終始大活躍し、輝きを放つ存在となっているのであるが、それは一方で Horn にとってとてもキツい楽曲であることも間違いないと想像される。
続く pomposo の第2主題も Horn によって奏されるが、こんどは一転若々しい活気に溢れた
キラキラと煌めくモダンな楽想となって聴く者の心を躍らせる。

これが Trumpet に受け継がれて高揚するのだが、ここに現れる打楽器のアフタービートとTrombone のカウンターが一層モダンな音楽へと演出しているのである。

打楽器の8分音符ふたつでブレイクした後はいったん静まって弦楽器+木管楽器の音色に変わって第2旋律の変奏へ。これが徐々に高まって序奏部を呼び返した後、ファンファーレ風の楽句が応答するブリッジを経て静かで悠々たる中間部へと流れ込んでいく。
弦楽器によって始められ、追って Horn も加わり奏でられる威厳と気品に満ちた旋律は、美しいだけでなく雄大なスケールを有している。ここでは味わい深い Fagotto による対旋律も見逃せない。

高揚し旋律がオクターブ上で繰り返され嚇々たる音楽となるや、そこにはカウンター楽句を抑制し、ひたすら威厳と荘重さに満たされた堂々たる音楽の歩みが現れる。重厚ながらも決してよどまぬその音楽の歩みは、実に感動的である。
充実したサウンドで中間部を終うと、再び Trumpet が短くファンファーレを奏し、冒頭からの再現部へ。
第2旋律の変奏まで再現されると、今度はテンポも気持ちも泡立つようなアッチェランドのブリッジを挟み、一層華やかさとスケールを拡大した中間部の再現となって、曲中最大のクライマックス Largamente を迎える。

ここでは中間部の旋律が打楽器のアフタービートに乗って高らかに奏されるとともに、金管群のふんだんなカウンターが鮮やかな華を添え、洵にモダンでゴージャス極まりない!
特に156小節~162小節に至っては、旋律にリズムと和声の伴奏、そして Horn + Trombone の対旋律が加わり、その上さらに Trumpet にハイ・ノートで “突き抜けた” もう一つの旋律が現れるという多声部の音楽となるが、その華々しさたるや筆舌に尽くし難いものである。
コーダは足取りを速めて一気呵成にファンファーレへと突入、音符の長さを拡大したこの最後のファンファーレとコントラストを成すキレの良い16分音符の楽句を奏で、エキサイティングに曲を閉じる。
■作曲者

作曲者ウイリアム・ウォルトンは、前述のように1937年のジョージ6世戴冠式のためにも「王冠」( Crown Imperial ) を作曲しており、「宝珠と王の杖」 は2曲目の戴冠式行進曲ということになる。
彼はまたエリザベスⅡ世の戴冠式において、終盤=聖餐式で唱された「テ・デウム (讃美の頌)」も作曲している。
ウォルトンの作品はどれも旋律をはじめとして非常に高い格調が感じられるが、ジャズやラテンといったごく現代の音楽にも興味と造詣が深かったウォルトンは、それらをセンスよく自作に反映させているのだ。
…ガーシュインはマジェスティック・ホテルの彼の部屋で、友人や取り巻きに『パリのアメリカ人』の断片を弾いて聴かせた。ガーシュインの友人のヴァーノン・デュークはメロディの美しいブルースの中間部をサッカリンのように甘いと非難したが、そこに居合わせた若きウイリアム・ウォルトンは、そのパッセージを変えないようにとガーシュインに言ったのである。
-「ガーシュウィン(大作曲家)」 Hanspeter Krellmann / 渋谷 和邦 訳 (音楽之友社) より
上記のエピソードからも、ウォルトンがジャンルにこだわらない鋭敏な進取の気性と、優れたセンスに溢れていたことが理解できよう。
そして当時のイギリス国民の総意と同じく、当時未だ26歳という若く美しい女王の誕生にこれまでとは全く違う新たな時代の到来を予感し、期待したウォルトンの思いから「宝珠と王の杖」は生み出されたのではないだろうか?そこにウォルトンのセンスがシンクロしたことで、このモダンな曲想が生まれたのだと思う。
表立ってジャズ風の楽曲になっているわけではないが、新鮮味のあるサウンドと和声、アフタービートのリズムとシンコペーションを効かせた譜割り、さらにジャズの如く縦横無尽に活躍する金管楽器たち…そこには ”新しい” 音楽が、間違いなく存在している。
ウォルトン自身は「宝珠と王の杖」を必ずしも会心の作とは思っていなかった。(殊に冒頭のファンファーレがメンデルスゾーンの「結婚行進曲」に似てしまったことは、大いに気に入らないところだったようである。)
しかし、私はこの曲が大好きだ。
「王冠」 もとても素敵な曲だけれども、「宝珠と王の杖」 により強い魅力を感じる。その ”新しさ” ”瑞々しさ”に、どうにも心が躍って已まないのである。
■推奨音源
さて「宝珠と王の杖」の演奏にあたっては、まずリズムの良いことが求められる。
特に27および114小節目の打楽器ソリでテンポがガッツリ嵌りこみ、鈍重になってしまう演奏が多いのはとても残念。終始良いリズムを失わないようにしないと、この曲のオシャレな感じは出てこないのだ。
そしてもう一つ、最大の命題は-終盤156小節目からの多声部極まる大クライマックスに於いて、果たして “ Trumpet (1st) がぶっ放すか、否か” である。もちろん ”ぶっ放す”と云っても ”音楽的な” 範囲でのことではあるが…

これをかなり抑えめにした演奏が実は多いのだ。
私個人の結論は- やっぱり ”ぶっ放さなきゃ!” である。
以上の観点からお奨めの音源は以下となる。

チャールズ・グローヴスcond.
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
やや粗く大味なところがあるのも否めないが、その分この曲の魅力をストレートに発揮する好演。実にテンポ感の良い現代的な演奏である。

ロバート・ファーノンcond.
BBCノーザン交響楽団 (Live)
とにかくキツイこの曲の Live 演奏としてはほぼ限界的とも云える好演。
テンポが重く嵌まり込む部分があるのは残念だが、セッション録音を含めここまで “吹き切った” 演奏はない。
尚、“ぶっ放さない” 演奏としてはこちらをお奨めしておく。

ポール・ダニエルcond.
イギリス・ノーザン・フィルハーモニア
フレーズの受け渡しが実に丁寧で、大きな音楽の流れを形成している。
ダイナミックな一方で美しくコントロールされた好演。
【その他の所有音源】
アンドレ・プレヴィンcond. ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ルイ・フレモーcond. バーミンガム市交響楽団
マルコム・サージェントcond. ロンドン交響楽団
フレデリック・フェネルcond. イーストマン=ロチェスター・ポップス管弦楽団
デヴィッド・ウィルコックスcond. フィルハーモニア管弦楽団
デヴィッド・ヒルcond. ボーンマウス交響楽団
ウイリアム・ウォルトンcond. フィルハーモニア管弦楽団
ロバート・マンデルcond. ニュー・シンフォニーオーケストラ
エイドリアン・ボールトcond. ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
-Epilogue-

エリザベスⅡ世は崩御の2日前-2022年9月6日にトラス新首相を任命した姿が最後の写真(左画像)として遺されている。
開かれた王室への移行にも務め、文字通り最晩年まで精力的な活動を尽くしたのである。

「宝珠」と「王の杖」は2022年9月19日のエリザベスⅡ世国葬においても、ウエストミンスター寺院に向う葬列の棺の上に「帝国王冠 (The Imperial State Crown)」とともにセットされていた。
やはりこのレガリアは国民の前に現す女王の正装に欠かせないものだったのだ。
王位の始まりにも終わりにも…。
「帝国王冠」「宝珠」「王の杖」はウインザー城における埋葬の、まさに直前まで女王の棺の上にあった。これらが英国国王という存在と、本当に不可分一体のものなのだと感じさせられた。
エリザベスⅡ世のために書かれたこの「宝珠と王の杖」は、吹奏楽にも編曲され演奏されている。永く王位にあったこの女王とその時代に思いを馳せ、崩御への追悼をこの素敵な曲を改めて聴いたり、演奏したりする機としてみては如何だろうか。
<Originally Issued on 2013.2.22. / Revised on 2022.9.9. / Further Revised on 2024.1.6. >
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