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[音源堂コラム②] 懐かしの「素晴らしきヒコーキ野郎」

hassey-ikka8

更新日:7 日前

-Introduction-

私が音楽=吹奏楽に触れその楽しさに目覚めた頃、NHK-FM で毎週日曜日の朝放送される吹奏楽専門番組「ブラスのひびき」は本当に貴重なものだった。

インターネットなどもちろんなく、CDすらも未だなく…アナログレコードを聴くほかには、比較的音質の良いFM音源をカセットテープに録音 (=エア・チェックと称する) して楽しむというのが一般的であり、FMの番組情報を提供する専門誌が幾つもあったという時代だ。

当時民放テレビは2局のみ、民放FMは受信自体できなかった私の故郷 (大分県の田舎町) にあって、この番組は吹奏楽曲の貴重な音源を提供してくれる、もの凄く大事な存在だったのである。


この「ブラスのひびき」のテーマ音楽こそが、「素晴らしきヒコーキ野郎」 だった。軽快で爽やか、また愛らしくもあるこの曲は、番組を今か今かと待ち構えている私をまず楽しませてくれたものだ。

ただ常に途中でフェード・アウトされてしまうのが残念で、全部聴きたいなーと思いつつも音源の入手方法どころか発売されていることさえ知りなかったのである。


※素晴らしきヒコーキ野郎

1965年公開のアメリカ映画、原題は ”Those Magnificent Men in Their Flying Machines or How I Flew from London to Paris in 25 Hours and 11 Minutes”

20世紀初頭に開催されたパリ-ロンドン間飛行レースを舞台に、そこに集結した個性的で愛すべきヒコーキ野郎どもと、その痛快な心意気を描いており、故・石原裕次郎のハリウッド進出作としても有名。音楽は 「633爆撃隊」「フリーフォール」 などの楽曲で吹奏楽界でもおなじみのロン・グッドウィン (Ron Goodwin 1935-2003) が担当した。






■あの「素晴らしきヒコーキ野郎」の音源を発見!

インターネットの時代になってから 、”検索” によりあの「ブラスのひびき」テーマ音楽の音源が、ダブルパワー・ブラスオーケストラの演奏する「スターウォーズ/スクリーン・マーチ・スペクタキュラー」(1978年) というアナログLPに収録されていることを、遂に突きとめたのである。

-それからはずっと、このLPを入手すべく虎視眈々と探し続けていた。


ところがネットオークションにも全然出てきてくれない…。随分長いこと探し続けてあきらめかけていた2012年の夏、ある中古レコード業者のネット通販サイトで販売されているのを遂に発見!すぐさま注文し無事入手することができた。届いたLPレコードは状態もよく、手にした私が小躍りして喜んだのは云うまでもない。

■アナログ音源のデジタル化

一刻も早く聴きたかったのだが、モノがアナログLPなので、まずは音源のデジタル化が必要である。以前は自前の装備でデジタル化していた時期もあるが、

1. 時間と労力がかかり過ぎる

2. その割に装備が充分でなく、音質が良くない

ことから、もう専門業者にお願いすることにしている。費用は相応かかるので、アナログ音源をネットオークション等で買い集めておき、ボーナスを貰うタイミングでまとめてデジタル化発注していたわけだ。(笑)


このLP 「スターウォーズ/スクリーン・マーチ・スペクタキュラー」 のデジタル音源化「工房ブルーランナー」 さんにお願いした。優れたオーディオ機器と、 (アナログレコードを徹底的にクリーニングする) バキュームクリーナーとを備え、トラック分割とCDサイズのジャケット製作までワンパックでやって下さるので大変満足。

こうしてデジタル化されたその音源が届けば、漸く実際に聴くことができるわけである。


  ※カセットテープ音源のデジタル化も対応しているので、私が学生指揮者を務めた大学3年時の演奏会録

   音や、中学時代のコンクール演奏などもデジタル化して懐かしく聴くとともに、同窓会などの折に当時

   の仲間たちにも配布して、とても喜ばれた。

   アナログLPでは海外を含めたネットオークションで落札した「ネリベル&米第五陸軍」 「ワルタース&米

   第五陸軍」 「米沿岸警備隊によるプレリュードとダンス(クレストン)」 「シャウニー・プレス社サンプル音

   源」などの音源をデジタル化発注している。こうした貴重な音源を手軽に聴くことができるようになり、

   とても満足していた…のだが、「工房ブルーランナー」さんは2022年9月に閉店されたそうである。私自身、

   今現在デジタル化未済のアナログ音源はもう保有していない状態ではあるが、同店の閉店は洵に残念…。


■懐かしの音源に感動!

おそらく30年以上ぶりに聴いた 「素晴らしきヒコーキ野郎」 は懐かしく、そしてもちろん心躍る素敵な音楽だった。まず、やはりアレンジが素晴らしい!


この曲のアレンジを担当したのは 山屋 清(1932-2002)-わが国屈指の名門ビッグバンド、原信夫とシャープス&フラッツのバリトンサックス奏者ならびにアレンジャーとして活躍したことで有名だが、「山屋清と東京ユニオン (3代目リーダー)」 「山屋清とオールスターズ」ではバンド・リーダーも務めたジャズ・サクソフォン奏者であり、江利チエミや弘田三枝子などに好アレンジを提供した人物でもある。

邦楽(三味線・尺八など)とも接点があるなど活動の幅は広く、イージーリスニングのジャンルでも相当な数の作品を遺したと云われる名アレンジャーであった。


この「素晴らしきヒコーキ野郎」 はパワフルで活気があり、ユーモアのセンスも感じさせる多彩なアレンジとなっており、実力派アレンジャーを揃えたこのアルバム中でも、出色の出来映えなのは間違いない。



そして演奏が素晴らしい!

演奏するダブルパワー・ブラスオーケストラは 「原信夫とシャープス&フラッツ」「宮間利之とニュー・ハード」 を合体させ (だから ”ダブルパワー” )、さらに13人のエキストラを加えた腕利きの集団であり、スピード感のある音色と明晰な発奏・カラフルなハーモニー・パワフルなダイナミクス、さらに実に推進力のある音楽の運び・リズムの良さはさすがというほかないものである。


こういう演奏を聴くと、理屈抜きに愉しい☆ 本当に最高 !!



<Originally Issued on 2012.12.23. / Revised on 2024.1.16. >

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