12月、クリスマスの季節-。キリスト教徒でない日本人までが浮かれることを揶揄する向きもあるが、私はいいんじゃないかと思う。実際いい想い出もたくさんあるし、家族や友人が楽しむ姿を見るだけでうれしい。
クリスマスはまた、素敵な音楽に溢れる季節でもある。クリスマス・ソングの私の愛聴盤、それがこの 「クリスマス・ポートレート/カーペンターズ」。

リチャードのプロデュースとアレンジが実に素晴らしく、アルバムの隅々にまで彼のセンスが行き届いている。
冒頭の「天なる神には」 (It Came upon a Midnight Clear)からして凄い! 短いがモダンでハイセンスな渾身のアレンジで聴かせるこのアカペラ・ナンバーに続いて、フル・オーケストラを駆使した序曲。-ゴージャスでハッピーなオープニングだ。さまざまな表情で定番のクリスマス・ソングを聴かせることはもちろん、クリスマスにちなむインストゥルメンタル楽曲も豊富に織り込み、このアルバム自体が素敵なクリスマス・パーティーのよう。なのに、そのクリスマス・パーティーにカレンの姿がない…。
カレンはどこ?と探したくなるその瞬間、伸びやかなカレンの歌声が「クリスマス・ワルツ」(Christmas Waltz )のメロディーとともに現れる。ここまでカレンを温存する演出の過不足のなさ…実に心憎い!以降、カレンの綺麗な歌声がクリスマス・ソングを楽しく、また艶やかに、また清らかに、或いは暖かに歌い上げるさまはご想像いただけることだろう。
☆☆☆
私にとっての ”この一曲” は
「メリー・リトル・クリスマス」(Have Yourself a Merry Little Christmas )

”運命が許すなら、これからもずっと一緒にいましょう。
木のてっペんに星をのせて、ささやかながら楽しいクリスマスを...” -小倉悠加 訳
というロマンティックなナンバーだが、とにかくいい。本当にじーんとくる。
♪ From now on your troubleswill be miles away - というフレーズのふくよかさ、
♪ Hang your shining star upon the highest bough - の澄み切った高音。
カレンの美声は神懸りで、私の心に強く、暖かく響く。
素敵な季節に、素敵な音楽を遺してくれたカレンに(もちろんリチャードにも)、感謝。
※このアルバムは元々2枚のLPを1枚のCDに編集したものですが、全21曲の1990年版をおすすめしま
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